On the Waters

帆船のことや、ヨットのこと

イギリスで RYA Day Skipper の講習を受ける (7) 下船編

講習7日目。今日で講習は終わり。船の掃除、片付けをして、認定をもらい、12:00に下船です。

航海日誌

7日目

デイスキッパー認定

みんなで、手分けしてピカピカに掃除をする。その間に、順番にジェスに呼ばれて、講評と認定のサインをもらう。まず、グラハム、それから、コニー。そして最後に、私の順番になった。

デイスキッパーのコースは、参加すれば、自動的に認定がもらえることになっているのだけれど。でも、いろいろ失敗したし。英語できちんと伝えられないので、実際理解できていることも、いまいちアピールできてないし。オーダは、はっきり出せなかったし。悪いことばかりうかんで、認定もらえないかもと本気で心配。

というより、こんなにできてないのに認定しちゃダメだろうくらいな勢い。おそるおそる、チャートテーブルにいるジェスのところまでいく。

合格だ。」

よかったぁ。でも、いいのかしら?

「自分の弱みはなんだと思う?」

いきなりそこか。

「たくさんあります。知識もまだまだ不足しているし、もっと実践が必要だし」

「そうだな。じゃあ、強みは?」

強みなんてまるでないんですけどぉと思いつつ、あ、そうだ。

「イギリスまで来ちゃった熱意?」

「そうだな。自分でも分かっている通り、不足しているところはたくさんある。けれど、日本語でだったらもっと上手くできると信じている。例えば、もっと大きな声ではっきりオーダーするようにと言い続けていたけれど、日本ではちゃんとやっているんだろう?そして、日本からここまで来たことは、extraordinary だ。」

ほめられたんだよね。それとも、あきれられてるのか?


スキッパーの心得

この時にジェスから聞いた、スキッパーの心得。

Never hesitate to make a decision.

躊躇しないで、すばやく決断しろ。間違っていてもいいから、決めることが重要だ。決めれば、後から修正することができるから。決断を先延ばしするのが一番よくない。

Be confident.

スキッパーは、常に自信に満ちていないといけない。たとえ、自信がないときでも。

RYAのスキッパー講習っていうのは、操船技術やシーマンシップだけじゃなくて、リーダーシップ教育も含んでいるみたい。この話を聞いた英国歴史海洋小説マニアの友人は、ジェスが言っていることって、200年前のネルソン提督の時代から士官候補生たちが言われ続けてきたことと同じと感動してくれた。

この伝統のバックグラウンドがあるから、イギリスでの船遊びは楽しいのだろう。

下船

片付けがすべて終わって、各自の荷物を甲板に運び出す。記念撮影をして、お別れの挨拶。ハグではなく握手なところがイギリスらしい。それでも、下船時刻を過ぎても、誰も船を離れようとはしない。とうとう、ミランダに、

「とっとと、降りろ!」"Now, Piss off!"

と追い出される。 本当に、そうでも言われないと、誰も船を離れられなかったと思う。ミランダは、ちゃんと分かってるんだ。

みんなは、これから、Trinity Sailing Foundation の事務所に行って、認定証を発行してもらうとのこと。私は電車の時間があるので、1人、バス停に向かう。

「日本に帰ったら、パスポートサイズの写真を事務所に送りなさい。そうしたら、認定証を送り返してあげるから」とミランダ。


Day Skipper Certificate

今回の体験で、イギリスで船に乗るのってすごく楽しいということが分かってしまい、この後は、毎年の夏休みにイギリスに船に乗りに行くようになりました。RYAのDay Skipper をとったというと、イギリスではそれなりにヨットに乗れる人とみてもらえるので、目の前の可能性がいきなりひらけたような感じでした。